日本映画

映画レビュー「RIVER」

2020年6月5日
合アレンの悲恋メロドラマ 。望まぬ結婚を強いられる“ゆい”。病父を救うため、汚れ仕事に手を染めるマルコ。惹かれ合い、愛し合う二人だったが――。

合アレンの悲恋メロドラマ

「クライング フリー セックス」などでの怪演で知られる女優・合アレン。初の監督作となる本作では、何とメロドラマのヒロインという従来のイメージを打ち破る役柄に挑み、新境地を開いている。

合アレンが演じるのは、実業家・黒澤の一人娘“るい”。黒澤お気に入りの医者である啓太と無理やり婚約させられたものの、愛のない結婚に耐えられるはずもなく、鬱々とした日々を送っていた。

ある日、海岸でマルコという男に出会う。黒澤のボディガードとして雇われ、日本にやってきたのだと言う。マルコには病気の父親がおり、その医療費を稼がなければならなかった。

金を稼ぐため、黒澤からオファーされたらどんな仕事でも引き受けなければならないマルコ。黒澤から望まぬ相手との結婚を強いられる“るい”。ある意味、似た境遇の二人は、互いに惹かれ合うものを感じ、逢瀬を重ねる。そしてついに二人は――。

“るい”は、母親の死に黒澤と啓太が関与しているのでは、という疑いを持っている。母親を殺したのは啓太だったのではないか? マルコが駆り出される格闘技の試合にも、黒澤たちのどす黒い欲望が垣間見える。

愛し合う“るい”とマルコ。娘の裏切りを許せない黒澤。嫉妬の炎を燃やす啓太。生活のため不本意な仕事を引き受け続けるプロモーターの仁(ジン)。そして、マルコと対戦した心優しい“モンスター”。

それぞれの思いが交錯し、物語は悲愴なクライマックスを迎える。

マルコ役は「クライング フリー セックス」でもお馴染み、公私にわたるパートナーのマイケル・ファンコーニ。また、黒澤役として、英語も達者なメジャー俳優の渡辺裕之が特別出演しているのも見どころだ。

ロシア、イタリア、アメリカの国際映画祭で、作品賞、監督賞、男優賞など受賞。

映画レビュー「RIVER」

RIVER

2020、日本

監督:合アレン(Allen Ai)

出演:合アレン、マイケル・ファンコーニ、小林元樹、音樹、真砂豪、渡辺裕之(特別出演)

2020年6月6日(土)より12日(金)まで、新宿ケイズシネマにてロードショー。連日12時30分スタート。

公式サイト:https://aaallen118.wixsite.com/river

文責:沢宮 亘理(映画ライター・映画遊民)

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