娘を殺された母親の怒りが爆発
田舎町のさびれた道路沿いに立ち並ぶ、3枚の大きな看板(ビルボード)スペース。ある日、赤地に黒文字で印刷した派手な広告が掲示された。
「レイプされて死亡」「犯人逮捕はまだ?」「なぜ?ウィロビー署長」
広告主は、娘をレイプ犯に殺された中年女性のミルドレッド(フランシス・マクドーマンド)。事件から半年以上もたつのに、いまだ犯人の目星もついていないことに憤り、警察署長のウィロビー(ウディ・ハレルソン)を名指しで非難するメッセージを打ち出したのだ。
広告は町中に波紋を及ぼす。ウィロビーは、誰もが敬愛する人情家。住民はミルドレッドの行動に共感するどころか、反感をあらわにする。
最も過激に反応したのは、ウィロビーを父親のように慕うディクソン巡査(サム・ロックウェル)だった。広告を掲載した会社に怒鳴り込み、直ちに撤去するよう求める。
しかし、担当者のレッドは、広告に違法性はないとはねつけた。レッドだけがミルドレッドの味方なのか?
実は、ウィロビーは末期ガンで、余命いくばくもない。それを知りつつ、ミルドレッドは容赦ない行動に出た。それだけ、娘を失った悲しみと怒りは強かったのだろう。だが、一方、娘の死は自分のせいかもしれない、という思いもミルドレッドにはあった。頭にバンダナを巻き、ジャンプスーツに身を包む、勇まし気なミルドレッドだが、決して攻撃的なだけの人物ではないのだ。
一筋縄でいかないキャラクターは、他の人物も同様。ステレオタイプな人間と思わせておいて、あるとき意外な一面を露呈し、意表を突く。
中でも、際立つのが、マザコンで人種差別主義者のディクソン巡査だ。ウィロビーの遺した言葉をきっかけに大変貌。敵対していたミルドレッドとの関係も大きく変わる後半の展開は、圧巻である。
はたして、ミルドレッドは憎き犯人を見つけることができるのか――。怒りが怒りを呼び、破壊と暴力にまみれながら、物語は思いもかけないエンディングへと突き進む。
アカデミー賞の作品賞、主演女優賞、助演男優賞など、計6部門7ノミネートされている話題作。
スリー・ビルボード
2017、イギリス/アメリカ
監督:マーティン・マクドナー
出演:フランシス・マクドーマンド、ウディ・ハレルソン、サム・ロックウェル、ジョン・ホークス、ピーター・ディンクレイジ
公開情報: 2018年2月1日 木曜日 より、TOHOシネマズ シャンテ他 全国ロードショー
公式サイト:https://www.20thcenturystudios.jp/movies/three-billboards
コピーライト:© Twentieth Century Fox Film Corporation
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