トップスターの主演作7本を一挙上映
かつて、フランス映画がハリウッド映画と拮抗するほどに、光り輝いていた時代があった。60年代から70年代にかけての、フランス映画黄金時代。
アラン・ドロンやカトリーヌ・ドヌーヴといったスターがスクリーンを彩り、映画ファンを熱狂させた。特集「華麗なるフランス映画」は、そんなスターたちの若き日の主演作を7本セレクトし、一挙に上映する企画だ。
ラインナップされたのは、「太陽がいっぱい」(60)、「太陽はひとりぼっち」(62)、「昼顔」(67)、「突然炎のごとく」(61)など、いずれも映画史に名を刻む名作ばかり。
「太陽がいっぱい」は、裕福な青年と貧しい友人との葛藤を描いた犯罪サスペンス。映画評論家の淀川長治氏がホモセクシャルな関係を描いた作品と発言し、話題となった。
アラン・ドロンとモーリス・ロネがヨット上で向き合い、じっと見つめ合うシーンのただならぬ緊迫感は確かにエロティック。4Kレストア版の鮮明な映像で、2人の危険な関係をしっかり目撃したい。
「太陽はひとりぼっち」は、ドロンもさることながら、ヒロインのモニカ・ヴィッティが強烈な存在感を放つ。「情事」や「赤い砂漠」などミケランジェロ・アントニオーニ作品には欠かせない女優で、本作でも全編にわたりアンニュイな魅力をふりまいている。
60年代はヌーヴェルヴァーグの作家たちが活躍した時代だったが、映画界はゴダールだけで回っているわけではないことを知らしめた、実験性あふれる作品でもある。オープニングに流れるジョヴァンニ・フスコのテーマ曲も素晴らしい。
「昼顔」は、カトリーヌ・ドヌーヴ演じる不感症の人妻が踏み込む禁断の世界をシュールに描く。日本では2014年放送のテレビドラマで昼顔ブームが起きたが、原点はこの映画である。4Kレストア版で上映。
「昼顔」に続いてドヌーヴが巨匠ルイス・ブニュエルと組んだのが、「哀しみのトリスターナ」。従順な美少女から恐ろしい女へと変身するドヌーヴの演技に要注目である。
「突然炎のごとく」(70)は、男2人と女1人の三角関係を、奪い合う関係ではなく、共生する関係として描いた、斬新な恋愛映画。ジャンヌ・モローが軽やかにナチュラルにファム・ファタールを演じている。ラウル・クタールが撮ったモノクロ映像の美しさも堪能してほしい。
そんなジャンヌ・モローの悪女ぶりをたっぷり見せつけてくれるのが、「エヴァの匂い」(62)だ。男を破滅へと誘うミステリアスな美女。こういう役柄をやらせたら、モローの右に出る女優はいないだろう。
「ダンケルク」(64)は、迫力の戦闘シーンも見応えありだが、最大の見どころは、ジャン=ポール・ベルモンドとカトリーヌ・スパークの儚いロマンスだ。ドロンと人気を二分したベルモンドと、美しさの頂点にあったスパーク。痛烈な反戦映画ではあるが、スターの魅力が存分に味わえる作品でもある。4Kレストア版で上映。
公開情報: 2018年2月17日 土曜日 より、角川シネマ有楽町他 全国ロードショー
公式サイト:https://cinemakadokawa.jp/france-eiga/
コピーライト:© 「太陽がいっぱい」© 1960 STUDIOCANAL - Titanus S.P.A all rights reserved 「太陽はひとりぼっち」© 1962 STUDIOCANAL. All Rights Reserved. 「昼顔」© 1967 STUDIOCANAL - Five Film S.r.l. (Italie) - Tous Droits Réservés
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