外国映画

映画レビュー「サタデー・ナイト・フィーバー」(ディレクターズカット 4Kデジタルリマスター版)

2022年4月7日
70年代ディスコブームに火を付けた伝説のダンスムービーが高画質で甦る。ジョン・トラボルタの圧倒的なダンスをぜひ大画面で。

ダンスムービーの最高峰

右腕を上に、左腕を下に伸ばしたS字カーブ。ダンスホールで踊るトラボルタの決めポーズだ。バックに流れるのは、ビー・ジーズのディスコサウンド。

たとえ見たことがなくても、タイトルは知っているだろう。そう、「サタデー・ナイト・フィーバー」。

主演のジョン・トラボルタを世界に知らしめるとともに、ディスコブームに火を付けた、伝説のダンスムービーだ。本作なくして「パルプ・フィクション」(94)のダンスシーンもなく、したがって、トラボルタの再ブレイクもなかったろう。映画史的にも、なくてはならない重要な作品なのである。

本作でトラボルタが演じたのは、イタリア系の若者トニー。安い給料で働くペンキ屋の店員だ。家に帰ると、失業中の父親と信心深い母親から、小言ばかり聞かされ、ウンザリな気分になる。

そんなトニーの唯一の楽しみが週末のディスコ通い。ここにさえ来れば、トニーは王様。ダンスの上手さでは誰にも負けない。一緒に踊りたいと寄ってくる女の子たちを適当にあしらい、ひたすら踊りまくる日々。

まもなく開催されるダンスコンテストは、ガールフレンドと組んで出場の予定だが、あまり気乗りはしていない。

そんなある日、トニーはステファニーという年上の女性に遭遇する。周りの女の子とは次元が違う、圧倒的なダンシング・スキル。

彼女となら優勝も期待できる。トニーは素っ気なくふるまう彼女を口説き落とし、コンテスト優勝を目指して練習に励むのだが――。

ダンス一辺倒で刹那的に生きるトニーと、夜学の短大に通ってステップアップを図るステファニーとの間には、明らかな隔たりがある。

成功者が住むマンハッタンと、トニーらが暮らすブルックリン。ステファニーは2つの地域を結ぶ橋を渡り、マンハッタンへと移り住むプランを実現しようとしている。

ただ憧れるだけでは叶わないアメリカンドリーム。地道な努力の上に、時には非情な大人の駆け引きも必要だ。キレイ事ばかり言ってはいられない。

ナイーブなトニーはステファニーとの交際を通じて、人生の厳しさを知り、自らの生き方を見直すようになっていく。

単なるダンスムービーではない。神父を辞めた兄の帰還。プエルトリコ系グループとの乱闘。さまざまな問題に直面しながら、大人への階段を昇っていく成長物語なのだ。

今回のリバイバル公開では、ディレクターズカット・4Kデジタルリマスター版が上映される。伝説の映画を、ぜひ高画質、大スクリーンで味わっていただきたい。

映画レビュー「サタデー・ナイト・フィーバー」(ディレクターズカット 4Kデジタルリマスター版)

サタデー・ナイト・フィーバー

1977、アメリカ

監督:ジョン・バダム

出演:ジョン・トラボルタ、カレン・リー・ゴーニー、バリー・ミラー

公開情報: 2022年4月8日 金曜日 より、新宿ピカデリー他 全国ロードショー

公式サイト:http://nightfever-and-flash.jp

コピーライト:© 2022 PARAMOUNT PICTURES CORPORATION. ALL RIGHTS RESERVED.

配給:シナジー

文責:沢宮 亘理(映画ライター・映画遊民)

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