外国映画

映画レビュー「フラッシュダンス」(4Kデジタルリマスター版)

2022年4月14日
ジェニファー・ビールスのダンスと、アイリーン・キャラの主題曲。映像と音楽が一体化した、MTV時代を代表するダンスムービー。

J・ビールスの魅力が爆発

ジェニファー・ビールスのダンスと、アイリーン・キャラの歌う主題曲。「フラッシュダンス」の魅力はこれに尽きる。映像と音楽の完璧なコラボレーション。双方が互いを増幅し合う。単なる足し算ではない、強烈な相乗効果に、観客は熱狂した。

映像と音楽は一体化して表現される時代になっていた。そんな時代を開いたのがMTVだ。

1981年にアメリカで開局した音楽専用のケーブルチャンネル。日本でもMTVを編集した番組が地上波で放送され、音楽ファンの心をとらえた。

「フラッシュダンス」は映画として製作されたが、そのハイライトシーンがビデオクリップ化され、MTVで頻繁に流された。

だから、映画を見ていない者も、皆「フラッシュダンス」を知っていた。誰もがこの映画について何かしら語ることができた。その意味で、これほど多くの人に共有された映画も珍しいのではないだろうか。

見どころはもちろんダンスシーン。目を瞠(みは)るばかりの卓越したダンス・テクニックは、映画ならではの演出の賜物ではあるが、ジェニファー・ビールスは完全にヒロインのアレックスになりきり、時代の寵児ともなった。

アレックスがいわゆる労働者という設定もよかった。昼は鉄工所の溶接工、夜はナイトクラブのダンサー。

男ばかりの現場でフェイスシールドに火花を受けながら汗を流した後、セクシーな衣装に身を包んだダンスパフォーマーとして酔客の熱視線を浴びる。

プロのダンサーを夢見ているが、独学の引け目がある。階級の壁も意識してしまう。そんなアレックスを後押しする男が現れ、運命が大きく動く――。

的確でテンポよいカット割りでヒロインの肉体的魅力と心理的葛藤を効果的に描き出し、やや強引だが巧みな構成でサクセスストーリーとラブストーリーを重ね合わせた。本作でブレイクしたエイドリアン・ライン監督の手腕が光る作品でもある。

映画レビュー「フラッシュダンス」(4Kデジタルリマスター版)

フラッシュダンス

1983、アメリカ

監督:エイドリアン・ライン

出演:ジェニファー・ビールス、マイケル・ヌーリー、リリア・スカラ、サニー・ジョンソン、カイル・T・ヘフナー

公開情報: 2022年4月15日 金曜日 より、新宿ピカデリー他 全国ロードショー

公式サイト:http://nightfever-and-flash.jp

コピーライト:©  2022 PARAMOUNT PICTURES CORPORATION. ALL RIGHTS RESERVED.

配給:シナジー

文責:沢宮 亘理(映画ライター・映画遊民)

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