ビートルズ解散4日後の熱演
クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル。60年代後半から70年代にかけて活躍したアメリカのロックバンドである。
60年代後半のアメリカにはこのような長い名前のバンドが多数出現した。カントリー・ジョー&ザ・フィッシュとか、1910フルーツガム・カンパニーとか。長いのに略さず、いちいち律儀に正式名称を口にしていたような気がする。
だが、クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァルについては、CCRという略称を使っていた。あるいはクリーデンス。
シンプルでメリハリのある楽曲に、ブルースの粘っこい響きを加えたCCRのサウンドは、サザンロックの元祖とされたが、彼ら自身は意外にもウエストコースト出身である。南部に憧れ、南部で生み出されたブルースを貪り聴き、そのエッセンスを吸収し、独自の音楽へと昇華させたのだ。
バンドの中心はジョン・フォガティ。リードギターとボーカル、そしてソングライティングを担当するジョンが、バンドの主導権を握っていた。だが、それがメンバー間に軋轢を生み、バンド生命の短さにつながったことも事実だ。まあ、ロック界ではありがちなことではある。
活動開始は早かったものの、ブレイクするまでには時間がかかった。68年にバンド名をCCRに改めて運命が好転する。勝負曲に選んだのは、デイル・ホーキンスのカバー「スージーQ」。これがビルボード・シングルチャートで全米11位にランクインする。
同曲はローリング・ストーンズもカバーしているが、コンパクトなストーンズ版とは対照的に長尺で、ジョンのギターが色っぽく泣き続ける。ボーカルも最高だ。CCRの存在を全米に印象づけたに違いない。
69年にはCCRの代表曲となった「プラウド・メアリー」、「バッド・ムーン・ライジング」、「グリーン・リヴァー」とスマッシュヒットを連発。アメリカ国内での人気を決定づけた。
本作は、アメリカを制覇したCCRが70年に行ったヨーロッパ・ツアーのハイライトとも言えるロンドンのロイヤル・アルバート・ホールでの公演をメインに、バンドの歩みを辿る記録映像やツアーの合間に見せるメンバーの素顔なども収めた、貴重なドキュメンタリー映画だ。
時あたかもビートルズ解散のわずか4日後。大きな喪失を償って余りあるCCRの熱気あふれるパフォーマンスは、50余年の時を隔ててなお鮮度を失ってはいない。ライヴを丸々収めたオリジナル16ミリフィルムを4Kで復元。劇場公開は日本が世界初となる。
クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル トラヴェリン・バンド
2022、アメリカ
監督:ボブ・スミートン
公開情報: 2023年9月22日 金曜日 より、ヒューマントラストシネマ渋谷、角川シネマ有楽町他 全国ロードショー
公式サイト:http://ccr.onlyhearts.co.jp/
コピーライト:© 2022 Concord Music Group, Inc.
配給:オンリー・ハーツ