日本映画

映画レビュー「新米記者トロッ子 私がやらねば誰がやる!」

2024年8月9日
お姉さまと慕っていた先輩の不正行為を知ってしまった結衣。新聞で暴露しようとゲリラ行為に出るが、学校の理事長に妨害される。

女子高生が大人たちの闇を暴く

憧れの作家“緑町このは”が在籍する。そんな名門高校に入学した文学少女の所結衣。さっそく文芸部の入部試験を受けるが、あろうことか試験の真っ最中になぜかドローンの直撃を受け、試験はリタイアを余儀なくされる。

ドローンは、文芸部を取材するために新聞部が飛ばしたものだった。思わぬアクシデントで入部し損ねた結衣だったが、部長の西園寺茉莉は結衣が気に入ったようだ。西園寺は、結衣が憧れる“緑町このは”の正体を突き止めれば、入部を許可すると約束してくれた。

在籍するはずの“このは”が何者なのか、文芸部すら把握していなかったのだ。結衣は“このは”を取材したことがある新聞部に潜入。見習い記者として部長・杉原かさねに同行しながら、“このは”探しをすることになる。

授業そっちのけで教員のセクハラなどゴシップばかり追いかけるかさね。その取材姿勢に疑問を感じながらも、結衣はいつのまにか取材活動にのめり込んでいく。

そんなある日、結衣は西園寺と同学年の男子で、今は不登校状態の松山秋から、西園寺に関する驚愕の事実を聞かされる。結衣がお姉さまと慕ってきた西園寺の正体を知った結衣は――。

単なるゴシップ好きに見えるが、実はジャーナリスト魂に燃えるかさねに、いつのまにか結衣は影響を受け、正義感に目覚めていく。そして、忠誠を尽くしてきた西園寺に挑戦状を叩きつけるのである。

だが、敵もさるもの。西園寺には理事長の沼原という黒幕がいた。金と権力にものを言わせて、あらゆる人間を屈服させ、己(おのれ)の欲求を満たしてきた暴君。

沼原の圧力によって、新聞部副部長の恩田春菜が寝返り、新聞部をサポートしていた印刷所の山本も陥落。最後まで抵抗したかさねも退学となる。

次々と仲間が減っていく中、結衣はゲリラ作戦を決行する。だが、理事長側の仕掛けたトラップにかかり、結衣の奮闘はすべて水泡に帰す、かと思われたが――。

敵と思われた人物や、裏切ったはずの人物が共闘し、鮮やかな逆転劇を演じるクライマックスに、胸が熱くなる。私がやらねば誰がやる! その通り。我慢しちゃいけない。諦めちゃいけない。

ところで、“緑町このは”の正体だが、これは後半で明かされるので楽しみに。

映画レビュー「新米記者トロッ子 私がやらねば誰がやる!」

新米記者トロッ子 私がやらねば誰がやる!

2024、日本

監督:小林啓一

出演:藤吉夏鈴、髙石あかり、久間田琳加、中井友望、綱啓永、外原寧々、ゆうたろう、八木響生、筧美和子、石倉三郎 / 髙嶋政宏

公開情報: 2024年8月9日 金曜日 より、テアトル新宿、グランドシネマサンシャイン 池袋他 全国ロードショー

公式サイト:https://torokko-movie.jp/

コピーライト:© 2024「新米記者トロッ子 私がやらねば誰がやる!」製作委員会

配給:東映ビデオ/SPOTTED PRODUCTIONS

文責:沢宮 亘理(映画ライター・映画遊民)

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