修復され甦った驚異の映像
前作「リュミエール!」に続き、リュミエール兄弟の作品をまとめたドキュメンタリー映画の第二弾。リュミエール研究所所長のティエリー・フレモーが、本作でもナレーターを務め、50秒の超短編×110本を解説している。
前作同様に有名な作品が登場する一方、あまり知られていない珍しい作品も多数セレクトされており、映画ファンには見逃せない内容だ。
中でも興味深いのが、世界初の商業映画である「工場の出口」への言及。お蔵入りとなったテイクが複数残っていることを明かし、そのうち3本を比較して見せてくれる。
この「工場の出口」は、毎年開催されるリュミエール映画祭で名誉賞を受賞した監督がリメイクするのが恒例となっている。本作では2019年のフランシス・フォード・コッポラ版がエンディングに登場するので、こちらにも注目したい。
また、75ミリ作品の「水宮の落成式」、「動く歩道の光景」は、今回が劇場初公開となる。いずれも映像表現の可能性を切り開く先駆的作品として、強烈な輝きを放っている。
映画を撮影、現像、上映できるシネマトグラフという画期的装置を開発したルイ&オーギュストのリュミエール兄弟。撮影を手がけたのは主にルイ・リュミエールだが、ルイ以外にも30~50名の専属カメラマンがいたと言われる。
彼らはフランスのほか、スイス、イタリア、ロシア、アメリカ、エジプトなど世界各国、そして日本にも派遣され、そこに住む人々や生活風景を撮影したのだ。
それにしても、次々と映し出される50秒の作品の、どれもが何と新鮮で刺激的で創造的なことか。
完璧なカメラポジション。流麗なカメラワーク。テーマの多様性。よく処女作に作家のすべてがあると言われるが、リュミエール作品には映画のすべてが詰まっている。
作中でティエリー・フレモーが言っているように、グリフィス、ガンス、ラング、ムルナウも、ルノワール、ヴィゴ、フォードも、小津、ブレッソン、ベルイマンも、みんなリュミエールの子供たちなのだ。
修復され鮮やかに甦った映像に、リュミエール作品の真価が浮かび上がる本作。映画誕生130年を来年に控え、世界に先駆けての日本公開となる。
リュミエール!リュミエール!
2024、フランス
監督:ティエリー・フレモー
公開情報: 2024年11月22日 金曜日 より、シネスイッチ銀座他 全国ロードショー
公式サイト:https://gaga.ne.jp/lumiere2/
コピーライト:© Institut Lumière 2024
配給:ギャガ