外国映画

映画レビュー「search/サーチ」

2018年10月24日
忽然と消息を絶った16歳の娘。探す手がかりはSNSのみ。全編PCモニター上で展開する、前代未聞のサスペンス映画。

すべてがPC画面上で展開する

「友人の家で勉強する。徹夜になるかも」。このメッセージを最後に、娘のマーゴットが消息を絶つ。父親のデビッドは、必死に連絡を入れるが、コンタクトがとれない。

妻と死別したシングルファーザーのデビッド。16歳のマーゴットとの関係は決して良好とは言えず、彼女の行動パターンは全く見当がつかない。友人などプライベートも知らないので、手がかりがつかめないのだ。

お世話になっているはずのピアノ教師に電話してみると、「とっくに辞めた」との返事。だとすると、レッスン料はどこに消えたのか?

中学時代の友人たちとキャンプに行ったという情報を得て、その友人に連絡してみると、「彼女は来なかった」との答え。こうなると、警察に頼らざるを得ない。

警察が捜査に乗り出す一方、デビッドはマーゴットのPCにログイン。SNSにアクセスし、彼女の足跡をたどり始める。

インスタグラム、ツイッター、フェイスブック…。デビッドはネット上に残された記録をことごとくチェックし、娘の行方を探っていく。

学校生活をエンジョイしていると思っていたマーゴットが、実は孤立していたという事実に直面し、愕然とするデビッド。昔なら、日記を盗み見て子供の裏の顔を知るところだが、今はPCが日記の代わりというわけだ。

ツイッターでは見も知らぬ他人から茶々も入る。悪質な冗談を真に受けたデビッドが、ツイートした若者の居所を突き止め、暴力をふるい、担当の女性刑事に厳しく叱責されるシーン。これが、実は事件の核心に関わる重要な場面だということが後に分かる。周到なシナリオである。

その後、デビッドは、PCに残された動画からマーゴットの失踪地点を特定。さらには、デビッドの弟であるピーターとマーゴットとのメールのやり取りを発見。このあたりから、にわかに緊迫感が高まっていく。

二転三転の果てに明かされる事件の真相、そして感動的なエンディング。王道のサスペンス映画だが、それをすべてPC上の画面だけで成立させた点が独創的だ。

今後、ドキュメンタリーなど、さまざまなジャンルでこのテクニックが用いられることだろう。映像表現の可能性を飛躍させた画期的な作品。

『search/サーチ』(2018、アメリカ)

監督:アニーシュ・チャガンティ
出演:ジョン・チョー、デブラ・メッシング、ジョセフ・リー、ミシェル・ラー

2018年10月26日(金)より、全国ロードショー。

公式サイト:http://www.search-movie.jp/

文責:沢宮 亘理(映画ライター・映画遊民)

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